近年、台風による被害が増え続けています。中でも、家屋の全半壊や床上・床下浸水など、住宅への影響は深刻です。こうした被害から安心・安全な暮らしを守るためには、住まいの台風対策が欠かせません。

そこで本記事では、台風に備えるための住まいの基本的な対策と、さらなる安心を実現する「台風対策リフォーム」について詳しく解説します。

近年、台風による被害が増加していることをご存じでしょうか。気候変動の影響で台風は年々規模が大型化し、風速や降水量が記録を更新するケースが増えています。その結果、住宅への被害も深刻化し、被害件数は増加の一途をたどっています。

例えば、2024年8月に発生した台風第10号では、全国で住家の全半壊が50棟以上、床上・床下浸水が1,000棟以上発生しました。

とくに静岡県では、台風の接近に伴う猛烈な風と大雨により、床下浸水だけで500棟以上の被害が報告されています。静岡県の床上浸水被害は全国でもとくに大きく、多くの住宅に深刻な影響を及ぼしました。

台風から住まいを守るためには、事前の準備が欠かせません。

そこでここからは、住宅への被害を最小限に抑えるために、簡単に実践できる台風対策を4つご紹介します。日頃からの備えを整えることで、台風シーズンを安全に乗り切る準備をしましょう。

台風の際、強風で飛来物が窓ガラスに衝突し、破損が発生するケースは少なくありません。割れたガラス片が飛び散ると、室内にいる人がケガをしたり、家具や家電が損傷したりする恐れがあります。

こうしたリスクを軽減するためには、雨戸やシャッターを活用するのがおすすめです。台風前には、これらが正常に動作するか必ず確認しておきましょう。また、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼っておけば、ガラスが割れても破片が飛び散らず、被害を最小限に抑えられるでしょう。

台風による大雨に備えるためには、住まいの排水設備が正常に機能することが重要です。

雨樋や排水溝に枯れ葉やゴミが溜まっていると、雨水が溢れて浸水被害につながる恐れがあります。台風シーズンを迎える前に、これらの設備を清掃し、雨水がスムーズに流れるか確認しておきましょう。 

庭やベランダに置かれたものが強風で飛ばされると、窓ガラスを割ったり、外壁や車に当たって破損させたりする恐れがあります。さらに、近隣の住宅まで飛来し、損害を与えてしまうかもしれません。こうした被害を防ぐためには、事前の対策が欠かせません。

植木鉢や物干し竿、バケツなどの軽量で移動しやすいものは、必ず室内に移動させておきましょう。

一方で、簡単に移動できない屋外物は、固定しておくといった対策が必要です。例えば、物置の扉はしっかり施錠し、大型のゴミ箱などは重りをつけたり紐で固定したりして飛ばされないようにしましょう。

また、屋外の装飾品や簡易的な収納ボックスなども安全な場所に移動させるか、しっかり固定しておくことで、万が一の被害を防ぐことができます。

屋根や外壁は、台風の影響をとくに受けやすい部分であるため、事前に点検しておきましょう。

屋根は、瓦や屋根材にズレやひび、破損がないかを確認します。外壁は、ひび割れや塗装の剥がれがないかチェックし、風雨が入り込むリスクを把握しておくことが大切です。

万が一、ひびや破損を発見したら、早めにリフォーム会社に相談して、補修を検討しましょう。

台風から住まいを守るためには、日頃の点検や準備に加え、リフォームによる対策が効果的です。とくに、窓や屋根、外壁などのリフォームは、台風時の被害を大幅に軽減できます。

そこでここからは、具体的な台風対策のリフォーム工事とその費用相場についてご紹介します。

台風時の窓ガラス破損を防ぐためには、窓そのものの強度を高めるリフォームが効果的です。例えば、雨戸やシャッターを設置することで、強風や飛来物から窓を守ることができます。また、複層ガラスや防犯ガラスに交換することで、窓ガラスの耐久性を向上させることも有効です。

費用相場：
・雨戸、シャッター設置：10～30万円/1ヵ所
・複層ガラスや防犯ガラスへの交換：5万円〜15万円/1ヵ所

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雨戸の後付け・交換費用はいくら？DIYでの取り付けをおすすめできない理由

屋根は台風時に強風や大雨の影響をとくに受けやすい部分です。屋根材や下地が劣化していると、破損だけでなく雨漏りのリスクも高まるため、適切なリフォームが欠かせません。

瓦屋根は重みがあるため耐久性が高い一方、強風によって瓦が飛ばされるリスクがあります。そのため、軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板などが、台風対策に適した素材として近年注目されています。

また、屋根全体を支える下地の補強も重要です。下地が弱くなっていると、雨水が侵入しやすくなり、室内の損傷につながる可能性があります。下地から補修することで、台風による雨漏りリスクを軽減し、屋根全体の寿命も延ばすことができます。

費用相場：
・屋根の塗装：40万～80万円
・屋根のカバー工法：100万円～200万円
・屋根の葺き替え：150万円～300万円

外壁のひび割れや塗装の劣化、他にも外壁と外壁の継ぎ目部分のコーキングが劣化していると、台風時の大雨によって雨水が浸入し、建物内部を傷める原因になります。防水塗料による再塗装や、ひび割れ箇所の補修、コーキングの打ち替えを行い、外壁の防水性能を高めましょう。

費用相場：
・外壁塗装：120万円～
・外壁のカバー工法：180～300万円
・外壁の張り替え：200～350万円
・コーキングの補修：30～45万円

関連記事：
外壁リフォームの費用相場は？カバー工法と張り替えの違いや補助金制度を解説

雨樋が詰まったり壊れていたりすると、台風時の大雨で水が溢れ、外壁や基礎部分に浸水被害を引き起こす可能性があります。雨樋が破損している場合は、耐久性の高い素材に交換したり、勾配を適切に調整したりするリフォームを行うと安心です。

費用相場：
・雨樋交換（1m）：6,000円〜1万円
・雨樋全交換：30万円〜60万円
・雨樋清掃：1万円〜3万円

関連記事：
雨樋の修理費用の相場とは？依頼先選びのポイントと火災保険についても解説

台風の被害を最小限に抑えるためには、事前の準備や住まいの点検が欠かせません。本記事では、窓や屋根、排水設備など、台風時に被害を受けやすい箇所への対策をご紹介しました。

とくに、窓や屋根の強化、外壁の防水対策といったリフォームは、台風によるリスクを大幅に軽減し、住まいの安全性を向上させる効果的な手段です。ぜひこの記事を参考に、実績豊富なリフォーム会社と相談しながら、住まいの台風対策を検討してみましょう！

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