床の間は和室の格式を高める空間です。しかし現代のライフスタイルでは活用されることが少なく、持て余しているという声も少なくありません。

床の間をリフォームすることで、実用的なスペースに変えたり、和モダンなインテリアとして活かしたりすることができます。

この記事では、床の間のリフォーム方法や費用相場、注意点について詳しく解説します。床の間のリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

床の間は日本の伝統的な和室に設けられる装飾スペースで、掛け軸や生け花を飾るための空間です。格式のある和室に設置されていることが多く、昔は「床の間に背を向けて座る人が1番身分が高い」とされていました。

しかし現代では床の間が使われることも減り、収納や部屋の一部として活用するためにリフォームを検討するケースが多くなっています。

床の間のリフォーム方法には、さまざまな選択肢があります。それぞれの詳細や費用相場を見ていきましょう。

【費用相場】約20万〜30万円

床の間の壁紙を変え、床板を濃い色の木材などに変更し、間接照明を設置すると、床の間が和モダンな空間に変化します。

床の間のデザインを和モダンにリフォームすることで、空間に洗練された印象を与えながら、和の趣を残すことができます。アクセントにもなるため、和室に華やかさを加えたい場合に良い方法です。

また、和モダンな床の間は、リビングやダイニングとつながる和室にも馴染みやすく、住まい全体のデザインに調和します。

【費用相場】約10万〜50万円

床の間を撤去し収納スペースを設置すれば、生活の利便性もアップします。クローゼットを設置する場合は、収納する物に合わせて、棚やハンガーパイプなどの設置も検討するとよいでしょう。

押し入れにする場合は、布団を収納できるだけの十分な奥行きが必要です。現在の床の間の広さだけでは足りず、和室や隣接する部屋を狭くして、押し入れスペースを拡張する工事が必要になることも考えられます。

また、収納スペースの扉のデザインも重要なポイントです。和室に合ったデザインの扉を設置することで、空間のイメージが保たれます。

【費用相場】約10万〜20万円

床の間を撤去し、和室を広げるリフォームも可能です。

統一感のある仕上がりを目指すなら、和室全体のリフォームを同時に行うと、より美しく整います。 部分的なリフォームでは「床の間があった場所だけが新しく見える」といった違和感が生じることもあるため、壁や天井の仕上げを統一すると、落ち着いた空間に仕上がります。

一方、費用を抑えたい場合は、あえて異なる壁紙や天井材を使い、アクセントとして活かすのもひとつの方法です。 例えば、床の間のあった部分だけフローリングにし、タンスや重い家具の置き場にすれば、デザイン性と機能性を両立した空間になります。

【費用相場】約40万〜100万円

住宅の間取り上トイレが不足している場合は、床の間をトイレへとリフォームするのも良い方法です。

トイレの数が増えることで、朝の混雑を解消し、生活の利便性が向上します。また、和室で介護する場合、トイレが近くにあることで介護する側もされる側も、トイレへの移動の負担を減らせます。

ただし床の間をトイレにリフォームする場合は、配管工事が必要です。床の間の位置によっては、床を掘り下げて配管を延ばす作業が発生するため、工事費用が高額になる場合もあります。また、換気設備や防臭対策も重要なポイントとなります。快適に使用するために、換気扇の設置や消臭効果のある壁材・床材などを選ぶとよいでしょう。

以下の記事では、トイレの適切な広さやレイアウトなどを解説しています。ぜひリフォームの参考にしてください。

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トイレの寸法はどれくらい？広さや便器サイズの選び方で使いやすさがUP！

床の間をリフォームする際は、気をつけるべき点があります。床の間のリフォームの注意点を解説します。

リフォームを成功させるためには、まず床の間をどのように活用したいのか明確にすることが大切です。

和モダンな空間にするのであれば、目指すイメージを明らかにしておきましょう。収納スペースの場合は収納する物をあらかじめはっきりさせておくことで、適切な広さや棚の有無などが判断できます。

また、床の間をリフォームする際は、家族のライフスタイルや将来的な住まいの変化を見越すことも大切です。

たとえば収納スペースとしてリフォームしても、子どもが巣立った後は物が減り、活用しなくなる可能性もあります。不要になったクローゼットは別の使い方ができるよう、あらかじめ考慮して計画を立てておくことで、再度リフォームが必要になった際に大掛かりな工事にならずに済みます。

長期的な視点を持って計画を立てることが、満足度の高いリフォームを実現する上で大切です。

住宅の構造によっては、床の間の壁が耐力壁であったり、床柱がただの装飾ではなく、家を支える重要な柱だったりするケースは少なくありません。その場合、床の間の撤去や変更はできない可能性もあります。

リフォームを進める前に、建物の構造や工法をしっかり調査し、無理のない範囲で計画を立てることが重要です。

またマンションや集合住宅では、制約によっては床の間を撤去してスペースを広げたり、水回りを新設したりすることが難しい場合もあります。とくに、水回りへのリフォームを検討している場合、給排水管の配置によっては工事自体ができないこともあるため、事前に管理組合やリフォーム会社に確認することが大切です。

床の間を撤去した後、新たに別の場所に設置する場合は、その向きや位置に注意が必要です。床の間は、もともと部屋の格式を高める空間のため、設置場所や向きにはさまざまなルールがあります。

たとえば床の間の設置場所は、「北を背にした南向き」「西を背にした東向き」が、縁起の良い方角とされています。

また、神棚を同じ部屋に置く場合は、床の間と対面にならないように注意が必要です。対面に設置すると、どちらかの方を向いたとき、片方に背を向ける形になってしまうためです。

さらに、床の間を和室に設置する場合は、畳の敷き方にも注意しましょう。床の間に畳の短い辺が突き刺さるように見える敷き方は「床刺し」と言われ、武士が刀を向けられることを意味し、縁起が悪いとされています。床の間の目の前の畳は、床の間と並行になるように位置を調整する必要があります。

床の間をDIYでリフォームすることは、おすすめしません。

床の間を撤去する場合、住宅の構造に影響を与える可能性があり、安易に手を加えると家の安全性が損なわれる可能性があります。また、床の間のリフォームは、基本的に大掛かりな
工事となるため、DIYで行うことは困難です。

無理に作業を行うと家の耐久性に影響を与えたり、ケガや事故が発生したりする可能性もあります。床の間をリフォームする際は、必ずプロに相談することをおすすめします。

床の間のリフォームと一緒に、障子や襖の張り替え、畳の交換などを行うと、統一感のある空間に仕上がります。逆に、床の間だけきれいな状態の場合、床の間が浮いてしまうことも考えられます。他の部分の劣化が気になり、後になって障子や襖、畳のリフォームを希望することも、あるかもしれません。

和室全体を同時にリフォームすることで工事が一度に済むので、工事費用の単価が安くなり工期も短縮できます。床の間のリフォームをする際は、和室全体のリフォームも同時に検討してみましょう。

和室のリフォームに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。

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床の間のリフォームには、和モダンなデザインへの変更や収納スペースへの転用、部屋の拡張、トイレへの改装など、さまざまな選択肢があります。

どの方法を選ぶかによって費用や工事内容が大きく異なるため、まずは用途を明確にし、長期的に活用できるリフォームを計画することが大切です。

床の間のリフォームを検討している方は、この記事を参考にして、床の間スペースの活用方法を見つけてみてください。

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